ブランドのミッションを策定するには、そのブランドがなぜ存在すべきなのかをシンプルに記述し「優れたミッションを生み出す」という事は、消費者の生活を変える新しいビジネス観を打ち出すと事であり、コトラーはそれを「普通でないビジネス」と呼んでいます。

また、優れたミッションの背景には、必ずすばらしいストーリーが存在しています。なので消費者にミッションを広めるには人々を感動させるストーリーが必要になり、またミッションを実現させるには消費者の参加が必要になります。そのためには消費者にエンパワーメントを与えることが極めて重要な事になります。

*エンパワーメント 与えられた業務目標を達成するために、組織の構成員に自律的に行動する力を与えること。 ビジネスにおけるエンパワーメントの特徴は、「自律性を促し」、「支援する」ことにあるります。

優れたミッション構成

①普通でないビジネス

「創造的かつ革新的なビジネスアイディア」を、他の人々が気づく前に見つけることであります・・・が,そう簡単に見つかるものではなく簡単に見つかれば誰もが見つけているはずです。

見つけると言うよりも「アイディアを広げ組み合わせる」といった方がしっくりくる気がします。Appleのスティーブ・ジョブズやマイクロソフトのビルゲイツなどでも、他の企業からヒントを得て、そのアイディアを大きく広げ、人々の生活にとってより意味のあるものにしてきました。

つまり、内に目を向けるのではなく、外に目を向け、新しい発見や外部のものを積極的に取り入れる姿勢を持つ事が「創造的かつ革新的なビジネスアイディア」の発見の一歩になるという事です。

②人々を感動させるストーリー

人々を納得させるには2つの方法があると述べています。1つは証拠、事実、数字に基づいた考えで、人々を知的な論議に引き込む事と、もう1つは、それらの考えを軸に感動的なストーリーを作り人々の感情を掴むことです。

そして、2つ目の方がはるかに効果的であると述べています。実際、故・スティーブ・ジョブズはストーリーから始まり、その後、製品の機能などを語る方法でユーザーを魅了していました。

また、ブランド・ストーリーの構成要素には少なくとも「キャラクター」「プロット(筋書き)」「メタファー(比喩)」の3つの重要な要素が含まれます。ただしブランド・ストーリーは事実を基に構成することが重要です。

③消費者のエンパワーメント

横に繋がっている世界では、人々はさほど有名ではない人物に力を与えたがる傾向が強いとされます。実際このような現象はよくあり、例えば有名なアイドル、歌手などよりも無名なアイドルや、インディーズなどあまり知られていない人物を対象に応援したがる人も多くいます。

これは、その人物を自分たち、すなわち巨大企業に取り巻かれた、力の弱い消費者の象徴とみなすからだとも言われています。しかし個々の消費者は弱いものであっても、集団としての力はいつだっていかなる企業の力よりも大きいものになります。

消費者が有する集団の力の価値は、ネットワークの価値に根ざしています。

*根ざしている:しっかりとした基盤を持って定着していること

つまり、企業のミッションの実現は、消費者の肩に掛かっていることになります。なので企業は消費者に自分たちは力があるというエンパワーメントの感覚を与え、ミッションの実現のため消費者の積極的な参加を得る必要があります。また企業のブランド・ストーリーは、その消費者のネットワーク内でメンバーからメンバーへと伝わり広がっていきます。

この時、一対一伝達の状況ではメンバーn人のネットワークの力はnの二乗に等しいとされ、これをメトカーフの法則と言われ、多数対多数の環境におけるメンバーn人のネットワークの力は、二のn乗に等しいとされ、nが五以上なら一対一のネットワークの力より常に大きくなります。この法則をリードの法則と言われています。

この数字が消費者エンパワーメントの最も重要なコンセプトになり、またネット上における消費者のカンバセーション(会話、談話)のプラットフォーム(基盤)になります。マーケティング3.0では、カンバセーション(会話、談話)が、新しい広告活動になるという事です。

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