マーケティング3.0は、インターネットの普及によりデジタルの世界(インターネット、コンピューター、携帯端末、ソーシャルメディア)に急速に変化したことで、生産者、消費者の行動に大きな影響を与えることになりました。

コトラーは、今までのマーケティングの変化として、下表のように第三段階に変化したと説明しています。

マーケティング1.0        マーケティング2.0マーケティング3.0
製品中心のマーケティング 
 
消費者志向のマーケティング
価値主導のマーケティング
概要
コンセプト
4P
品質、性能を追求する製品志向
STP/CRM
消費者を中心に考え顧客満足を追求する消費者志向
人間中心、共創
社会的価値がもとめられる
協働志向、文化志向
精神志向
目的製品の販売消費者を満足させ、つなぎとめること世界をよりよい場所にすること
可能にした力産業革命情報技術ニューウェーブの技術
市場に対する企業に見方物質的ニーズを持つマス購入者マインドとハートを持つより洗練された消費者マインドとハートと精神を持つ全人的存在
主なマーケティング・コンセプト製品開発差別化価値
企業のマーケティング・ガイドライン製品説明企業と製品のポジショニング企業のミッション、ビジョン、価値
価値提案機能的価値機能的・感情的価値機能的・感情的価値・精神的価値・社会的価値
消費者との交流1対多数1対1の関係多数対多数

なぜマーケティング3.0が提唱されるのか

まず、1.0の製品中心のマーケティングでは「製品を作れば売れる」や「よいものを作れば売れる」など、製品を中心とした考え方になります。

需給バランスでいうと供給よりも需要のほうが多い状態です。

例えば、CVS(コンビニエンス・ストア)がない島に初めてCVSが出来たら消費者は選ばずともそのCVSで購入することになります。(一店舗しかないので)

消費者には「選択」するという選択脈がないので、生産者側としてはとにかく供給を増やします。

そして、店舗が増え供給も増え商品が溢れてくると、次に望まれるのは従来よりもより良い商品になります。

つまり、この時期においては製品志向の時代になり、企業のフレームワークは「いかに、生産した製品をすべての潜在購買者に売り込むか」の4Pが主体となりました。

次に、2.0の消費者志向のマーケティングは、消費者、顧客のニーズを中心とした考え方になります。

需給バランスでいうと、需要よりも供給が増えてきている状態になり、高機能、高品質の製品が増え、品質、性能に大差がなくなるコモディティ化が進んできます。

先ほどのCVSでいうとあちらこちらに店舗が溢れかえって置いてある商品も他店舗とあまり変わらない状態です。

そうなると、消費者の選択脈も増え、また「どこで買っても大体同じ様なもの」になってきます。

なので、高機能、高品質で「作ったものを売る」製品中心の概念から「消費者の望んでいるものを生産し売る」「消費者を満足させ、つなぎとめること」の消費者を中心とした概念になり、その中で、差別化を図っていくということです。

また、消費者ニーズのすべてに応えることが難しいので、企業のフレームワークは新たに、

S:セグメンテーション

T:ターゲティング

P:ポジショニング

が用いられるようになりました。

そして、3.0の価値主導のマーケティングは、消費者の機能的、感情的なニーズに応え充足させるだけではなく、精神的充足にも応え、また社会的価値も求める「人間中心」のマーケティングで、次の3つが重要な力であると挙げています。

・参加の時代

・パラドックスの時代

・創造的社会の時代

この3つの時代により、消費者に変化をもたらし、

・協働マーケティング

・文化マーケティング

・スピリチュアル・マーケティング

が生み出されました。

<3.0の構成要素>

構成要素なぜ、必要になるのか
何を提示するのか
内容協働マーケティング
参加の時代
(刺激)
背景文化マーケティング
グローバル化とパラドックスの時代
(問題)
どのように提示するのかスピリチュアル・マーケティング創造的社会の時代
(ソリューション)

そして、それらを行い、また消費者に「本物」として認知されるためには、

・brand identity:ブランド・アイデンティティ

・brand integrity:ブランド・インテグリティ

・brand image:ブランド・イメージ

の3つのiが必要不可欠になり、

3iモデルの「3つのi」

さらに、消費者の支持を得るためには、

・ミッション

・ビジョン

・価値

価値主導マーケティングのミッション・ビジョン・価値を明確に示す必要があります。

3.0は、マーケティングのやり方が消費者の行動変化、態度変容によって大きく変えられる段階であるとされ、

より、協働的、文化的、精神的になるにつれマーケティングのあり方も変化します。

マーケティング3.0は非常に高位なマーケティングになり、これらを実践できる企業は「社会的にも価値の高い企業」になることが出来ます。

3.0ヒエラルキー

また、コトラーはマーケティング3.0の原則を下記のように述べています。

 

マーケティング3.0の10原則

①顧客を愛し、競争相手を敬う

②変化を敏感にとらえ、積極的な変化を

②評判を守り、何者であるかを明確に

④製品から最も便益を得られる顧客を狙う

⑤手ごろなパッケージの製品を公正価格で提供する

⑥自社製品をいつでも入手できるように

⑦顧客を獲得し、つなぎとめ、成長させる

⑧事業はすべて「サービス業」である

⑨QCD(品質:Quality、価格:Cost、納期:Delivery/Time)のビジネス・プロセス改善を

⑩情報を集め、知恵を使って最終決定を

これらを10の原則としています。

 

最後に

マーケティング3.0はソーシャル・メディアが台頭してきた事で生まれたものになります。

だからといって、2.0までのマーケティングが否定されるものではなく、まったく当てにならないという訳でもありません。

むしろ、今までのマーケティングを理解し実践していけた上で「さらに目指すべきもの」になります。

なので、いきなり3.0を実践しようと言うのではなく今までの主な流れや方法を理解し、

「何がどのように違い、また変化させていくのか」を考え、実践していく方がより明確な理解に繋がると考えています。

つまり、「比較対象があって初めて違いが分かる」と言うことです。

なので、まずは今までの基本的なマーケティングの流れを理解することが望ましいのでないかと思います。

 

コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則